☆いい女☆で行こう!

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関係あるものを買うということは、関係ないものは買わないということだ2
りていに言えば、おれはハイソ地域の百貨店内で、一種の不幸をたくさん目撃したのだった。
というのはつまり、店内には、お金持ちのマダムやお姉ちゃんが客として歩いているのだ、彼女らは見るからに高いブラウスを着ていて、場所に慣れており、おれはそれを見ながら「ここの価格帯を日常にして暮らしているってどういう感覚なんだろうな」と思いを馳せたのだった、もちろんそんな感覚などわかりはしない。
ただおれが目撃したのは、そうした金持ちのマダムやお姉さんたちが、すさまじい値札の中を、思いがけず「ボーッとして」歩いているという事実だった、まるで夢遊病のようにぼんやりしており、どうでもいいような浅薄な商品説明を店員から受けている、ほとんど時間の無駄にしか思えないが/おれは彼女らを目の端に捉えながら、理解した、彼女らは無数の商品を好きに買える金権を持っていながら、どの商品にも「何の関係もない」という中を歩いているのだ。
おれは安物と高級品なら、高級品のほうが好きなたちだ、おれはマグロの柵は買わなかったがマダイの柵は買った、マダイはおれに「関係ある」からだ、おれは愛媛産の天然のマダイを刺身にして食ったが、「うおっ」と驚きの声を出しながら食った、とはいえそれでも瀬戸内の地物として当地で食うのとは大きな開きがあるのだが……

金持ちのマダムやお姉さんがいて、彼女らだってバカではないのだし育ちはよいのだろうから、安い養殖のマダイと高い天然のマダイの差はわかる、最近は養殖ものの品質がとてつもなく上がっているので単純な旨味の量では「あれっ」と驚かされることがあるが、それにしても本当の上物は歯ごたえも違うし味の複雑さも深さもまったく違う、必ずしもそれがすべての料理を具合よくするとは言えないほど本当の上物は特別な力がある(たぶんアヒージョなんか作ったら養殖のほうがウマいという場合がありうると思う)。
金持ちのマダムやお姉さんたちも、バカではないので、高品質のものを「よい」とはわかるのだ、食い物であろうが衣服であろうが、高級品のほうが「桁違いによい」ということはわかる、けれどもそういうことではないのだ/たとえ桁違いのウマさであろうが、それが自分の口の中に入ってくるということに「何の意味もない」ということなのだ、にもかかわらず、人はわざわざマズいものを食おうとは思えないので、漠然と高級品を買って食べている、それもただ自分が立場上その金権・権力を持っているからだ。
高級なワインと超高級なワインは、素人にはどちらが上物かよくわからなかったりするが、安物のワインと超高級なワインならその差は誰にでもわかる、誰だって生まれて初めて当たり年のムートンを飲めば「な、なんじゃこりゃああああ」と目を丸くするはずだ、おれは初めそれを「ブランデーでも混ざっているのか!!」と驚いてウマすぎてガブガブ飲んでしまった(あとでシェフに「だってそりゃムートンだもの」と説明されて「へえ、そういうやつなんですか」と答えた、おれは当時何も知らなかったのだ)。
金持ちのマダムもお姉さんも、高級なワインのほうがウマいというのは知っているし、その差はわかるのだ、だからカネがある以上は高いほうを買って飲むのだが、やはり「口の中に高級ブドウ酒を流し込んだからといって何なのだ」というわけのわからなさの中を生きていることになる、それで「これは当たり年のピノノワールですね、すっごくおいしい」みたいなことを言っている、それがピノであろうが焼きそばUFOであろうが「お前に関係ないものが口の中に入ってきても何にもならんだろ」ということが続いているのだが、そのことには何も答えられないまま彼女らはハイソ百貨店の店内をウロウロしている、おれはそこにはっきりと一種の不幸を見た。

関係ないものをずっと買い続けているから、彼女らの眼の奥は恐怖におびえている。

繰り返すが、彼女らだってバカではないのだ、バカではないのにその愚かな行為を続けるしかなくなっていて、眼の奥に恐怖を蓄積し続けている、それが「恐ろしいことになる」ということは直観で知っているのだ、にもかかわらずけっきょくはそれを続けるしかない。
自分に関係ない服でも、高級品を着るときれいに見えて、自分に関係ない肉でも、高級品を食うとやたらに旨い、関係ない音楽でもハイクラスの演奏ならやたら上手で、関係ない車もやたら乗り心地がよく、関係ない酒も宝石もやたらにきらびやかだ、何の関係もないのにだ、そこで「なんで?」というと「カネだから」ということなのだが、そうして冷静に見ると「カネ漬け」にされているだけということを、人の魂は知らないわけではない、自分に関係のないものを消費したり趣味にしたりすることは恐ろしいことだ/そして、自分に関係あるものに満たされて自分に関係あるものに必死になってワッハッハというのが幸福の本質だとよくわかる、生きているうちこの世界に自分の「関係あるもの」が得られるとしたらそれじたいが稀な幸福に属することだ(たいていはそんなもの得られないので、身内を宝にするしかないものだ)。
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